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コラム

COLUMN
2021.10.16

板金工事業の建設業許可をとる!工事内容や許可要件を解説

板金工事とは、金属薄板等を加工して工作物に取付け、又は工作物に金属製等の付属物を取付ける工事のことをいいます。 

この記事では、板金工事業の建設業許可を取得を検討している方のため、その工事内容や要件などを詳しく解説していきます。

板金工事業の許可が必要なケース

板金工事業は、500万円以上の「板金工事」を請負うのに必要となる許可業種で、27種類の専門工事業のうちの1つです。

元請業者として板金工事を請負い、下請業者に合計4,000万円以上発注する場合は板金工事業の特定建設業許可が必要となりますので注意しましょう。

板金工事の内容

板金工事とは具体的には次のような工事のことをいいます。

  • 板金加工取付け工事
  • 建築板金工事
  • ステンレス張付け工事
  • カラー板金張付け工事

建築板金工事とは

建築物の内外装として板金をはり付ける工事のことで、具体的には建築物の外壁へのカラー鉄板張付け工事や厨房の天井へのステンレス板張付け工事等のことをいいます。

屋根工事業との区分

「瓦」「スレート」「金属薄板」は、屋根をふく材料の別を示したものにすぎず、また、これら以外の材料による屋根ふき工事も多いことから包括して「屋根ふき工事」に分類されます。したがって、板金屋根工事も板金工事ではなく屋根工事に該当します。

板金工事業のよくある誤解

「建築一式の建設業許可を受けていれば、板金工事も金額制限なく請負える」という誤解が非常に多いのですが、一式工事業の建設業許可をもって金額制限なく請負えるのはあくまで一式工事のみです。

例えば、新築等の建築一式工事ではなく、建築板金工事をメインとして請負う場合は、建築工事業ではなく板金工事業の建設業許可が必要となるので注意しましょう。

板金工事業の専任技術者要件

建設業許可を受けるには、業種ごとに一定以上の資格または実務経験を有する人を営業所に配置しなければなりません。

板金工事業の専任技術者になれる資格

  • 一級建築施工管理技士
  • 二級建築施工管理技士(仕上げ)
  • 監理技術者資格者(板金工事業)
  • 技能士

技能士の場合

検定職種:建築板金(ダクト板金作業・内外装板金作業)、工場板金、板金、板金工(建築板金作業)、打出し板金に限ります。なお、二級の場合は合格後3年以上の板金工事に関する実務経験が必要です。

特定建設業許可の場合

特定許可の場合は、一級建築施工管理技士、監理技術者資格者のみが専任技術者になることができます。

実務経験により専任技術者になる場合

上記のような資格がなくても、板金工事の施工について10年以上の実務経験を有する人は、板金工事業の専任技術者になることができます。

また、板金工事に関する指定学科の高校を卒業している場合は卒業後5年、大学を卒業している場合は卒業後3年以上、板金工事に関する実務経験を有していれば、専任技術者になることができます。

板金工事業に指関する定学科

  • 建築学
  • 機械工学

上記学科の高校または大学を卒業している場合は、必要な実務経験期間の短縮が認められます。

建築学、機械工学に関する学科として認められる具体的な学科名には次のようなものがあります。

建築学に関する学科
環境計画科、建築科、建築システム科、建築設備科、建築第二科、住居科、住居デザイン科、造形科
機械工学に関する学科
エネルギー機械科、応用機械科、機械科、機械技術科、機械工学第二科、機械航空科、機械工作科、機械システム科、機械情報科、機械情報システム科、機械精密、システム科、機械設計科、機械電気科、建設機械科、航空宇宙科、航空宇宙、システム科、航空科、交通機械科、産業機械科、自動車科、自動車工業科、生産機械科、精密科、精密機械科、船舶科、船舶海洋科、船舶海洋システム科、造船科、電子機械科、電子制御機械科、動力機械科、農業機械科

類似学科については、学科名の末尾の「科」「学科」「工学科」は、他のいずれにも置き換えが可能です。

上記の類似学科名に記載がない学科でも、履修内容が上記のような建築・機械に関するものであると認められる場合は、個別相談により指定学科とみなしてもらえるケースもあります。この場合は、卒業証明書とあわせて履修証明書や成績証明書など取り寄せ、どのような内容の学習をしたかを提示して事前に審査庁に相談しましょう。

板金工事の実務経験証明方法

板金工事業の専任技術者の要件を実務経験により満たすためには、経験を有することはもちろんですが、その経験を書類で証明できるかどうかが重要なので、建設業許可申請において必要な書類について解説します。

板金工事の実務経験を証明するうえで最初に確認するべきことは、経験を積んだ企業が、在籍時に板金工事業の建設業許可を受けていたかどうかであり、各ケースの必要書類は次のとおりです。

許可あり企業での経験の場合

  • 被保険者記録照会回答票
  • 建設業許可通知書の写し
  • 専任技術者証明書
  • 実務経験証明書
  • 指定学科の卒業証明書
  • 健康保険被保険者証の写し

許可なし企業での経験の場合

  • 被保険者記録照会回答票
  • 工事請負契約書等
  • 専任技術者証明書
  • 実務経験証明書
  • 指定学科の卒業証明書
  • 健康保険被保険者証の写し

被保険者記録照会回答票とは

この書類は、いわゆる専任技術者になろうとする人のこれまでの年金記録です。

年金事務所に行くと即日発行してもらえる書類で、どの企業の厚生年金保険にいつからいつまで加入していたかを確認できます。

この書類により、まずは板金工事を経験した企業に常勤で在席していたことを証明します。

※審査庁によっては取締役として登記されていれば厚生年金保険に加入していなくても過去の常勤を認めるというルールを設けている場合がありますので、実務経験証明証明の準備着手時に申請先の自治体に確認すると良いでしょう。

建設業許可通知書の写しとは

建設業許可新規取得時、5年に一度の更新時にすべての会社・個人に発行される書類です。

A4一枚の普通紙で発行されますが、とても重要な書類で、建設業許可の業種や有効期限が記載されています。

建設業許可通知書に板金工事業と記載があり、その有効期間中、被保険者記録照会回答票によってその企業に在籍していたことを証明できれば、その期間における板金工事の実務経験が認められることが多いです。

ただし、通知書に記載されている許可の有効期間の満了時に更新手続きをせず、許可が抹消されている企業については、抹消の日までの経験を認めてくれる行政庁と認めてくれない行政庁に分かれるので、必ず事前に確認しましょう。

※建設業許可申請の実務においては、許可の通知書がなくても、行政側が行政内での確認により許可の有無を確かめてくれる場合が多いので、許可の通知書が手に入らない場合は申請先の窓口に問い合わせしましょう。

工事請負契約書等とは

板金工事業の建設業許可を受けていない企業でも、500万円以下の板金工事については請負い及び施工をすることができます。

このような、板金工事業の建設業許可を受けていない企業における経験も専任技術者の実務経験年数に含めることができるのですが、この場合、板金工事を請負っていたことを証明するため、工事請負契約書等を証明する期間通年分用意する必要があります。

工事請負契約書がない場合は、注文書、請書、請求書(通帳で入金確認)等でも板金工事を請負い、施工していることが確認できれば経験は認められる場合が多いです。

専任技術者証明書とは

建設業許可申請書類のなかに、様式八号の専任技術者証明書という書式があります。

様式第八号 専任技術者証明書

ここには、専任技術者の氏名、住所、生年月日等の個人情報の他、専任技術者が担当する業種ごとの資格の種類または実務経験など、どのように要件を満たしているのかを、記号により記載することになっています。

実務経験証明書とは

続いて、様式第九号の実務経験証明書という書式があります。

様式第九号 実務経験証明書

この書類は、専任技術者の要件を実務経験で満たす場合にのみ必要となる書類で、資格により要件を満たす場合は不要となります。

実際に担当した板金工事について具体的に記載し、その経験年月が必要な期間を満たすように記載しましょう。

前記の被保険者記録照会回答票における厚生年金加入の期間、板金工事の建設業許可が有効であった期間、または工事請負契約等が用意できる期間と同期間の経験を記載する必要があります。

指定学科の卒業証明書とは

前記の指定学科に関する学歴により実務経験証明年数を短縮する場合、学校から卒業証明書を取り寄せて、基本的には原本を提出することになっています。

卒業証明書の取り寄せ方法は、学校ごとに案内があるはずなので、卒業した学校に確認してみましょう。

健康保険被保険者証の写しとは

専任技術者が、建設業許可を申請する企業に現在常勤であることを健康保険証の写しを提出することにより証明します。

後期高齢者である場合や、健康保険組合のカードデザインの都合上、健康保険証に申請する企業名が記載されていない場合は、健康保険証の写しとあわせて、次のいずれかの書類等により常勤を証明する必要があります。

  • 健康保険・厚生年金保険の標準報酬決定通知書
  • 住民税特別徴収税額決定通知書
  • 法人の場合は直近の法人税確定申告書における役員報酬明細
  • 個人事業の場合は直近の確定申告書
  • 被保険者記録照会回答票
  • 健康保険組合発行の資格証明書

※上記一覧は申請先ごとの審査基準により異なる可能性があります。

※神奈川県等、一部の審査庁では専任技術者が代表取締役である場合には健康保険証の写しを求めないという取り扱いもあります。

専任技術者の詳しい解説はこちら

板金工事業まとめ

工事内容

  • 板金加工取付け工事
  • 建築板金工事
  • ステンレス張付け工事
  • カラー板金張付け工事

屋根以外に板金を加工・取付ける工事が該当します。

専任技術者になれる資格

  • 一級建築施工管理技士
  • 二級建築施工管理技士(仕上げ)
  • 監理技術者資格者
  • 技能士(板金に関する職種)

実務経験緩和の指定学科

  • 建築学
  • 機械工学

専任技術者を確保できそうであれば、常勤役員等(経営業務管理責任者)の要件確認などもあわせて許可取得を具体的に検討していくと良いでしょう。

建設業許可全体の要件はこちら

行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

建設業特化の行政書士法人ストレートの代表行政書士。年間申請数は300件を超える。建設業者のみならず行政書士、他士業からも多くの相談を受けるプロが認める専門家。誠実、迅速な対応で建設業者の発展に貢献します。

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他の行政書士には許可をとれないと言われた事業者様の建設業許可を、問題なくスムーズに取得できるケースも非常に多いです。行政書士の業務は多岐にわたるので、建設業許可に詳しくない事務所も当然あります。

「近所だから」「安いから」という理由だけで依頼する行政書士を選ぶと、許可取得までに時間がかかったり、許可を取得できないということも考えられます。特殊な法律やルールの多い建設業に関する手続きは、専門の行政書士にご相談いただけることを願います。