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コラム

COLUMN
2022.05.16

500万円未満になるよう契約書を分割してもいいのか?

建設工事を行うためには建設業の許可が必要ですが、500万円未満の「軽微な建設工事」の場合は建設業許可を受けなくても請け負うことができます。

では、500万円未満になるように工事をいくつかに分割して請け負ったら、建設業許可を受けていなくても工事を請負うことが可能なのか?というと結論はNGで、契約書を分けて無許可で工事を請負うことは建設業法違反になります。

この記事では、

  • 軽微な建設工事の定義
  • 500万円未満に契約書を分割するのがNGな理由
  • 無許可で請負った場合の重い罰則

について、建設業専門の行政書士法人ストレートが解説します。(2023/5/31更新)

軽微な建設工事の場合は建設業許可が不要だが…

「軽微な建設工事」のみを請け負う場合、建設業許可は不要です。

「軽微な建設工事」とは、請負金額や規模の小さな次の建設工事のことを言います。

軽微な建設工事
[1]建築一式工事については、工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
●「木造」…建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるもの
●「住宅」…住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で、延べ面積が2分の1以上を居住の用に供するもの
[2] 建築一式工事以外の建設工事については、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事

したがって、請負代金が500万円以上(建築一式工事の場合は1,500万円)の建設工事を請け負おうとする場合には、建設工事の業種に該当する建設業許可を受けていなければなりません。

ここで一見、許可の必要な建設工事に対して500万円未満となるよう契約書を分割すれば、許可を受けなくても工事を請負うことができるのでは?と思えるかもしれません。

500万円未満になるよう契約書を分割するのはNG

結論から言えば、1件あたり500万円未満になるように、500万円以上の建設工事をいくつかに分割して請け負うことはできません。

建設業法施行令第1条の2に

「同一の建設業を営む者が工事の完成を二以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額とする。」(建設業法施行令より抜粋

とあるように、契約書の体裁ではなく工事の実態で判断されます。

要するに、分割して請け負ったとしても、実態が1つの請負契約であれば、無許可で500万円以上の建設工事を請け負ったことと同じになるということです。

法第三条第一項ただし書の軽微な建設工事
~省略~
2 前項の請負代金の額は、同一の建設業を営む者が工事の完成を二以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額とする。ただし、正当な理由に基いて契約を分割したときは、この限りでない。
~省略~

建設工事を無許可で請け負うと建設業法違反となる

500万円以上の建設工事を無許可で請け負うと建設業法違反となります。

違反した場合は監督処分の対象となり、最悪次のような重い罰則が科されます。

  • 3年以下の懲役または300万円以下の罰金
  • 法人に対しては1億円以下の罰金

許可がない業種について500万円以上の建設工事の依頼があった場合は、断るか、許可を受けている業者を紹介しましょう。

近年は企業経営においてコンプライアンス意識が重要視されています。許可が必要ない事業者でも社会的信用のために建設業許可を取得している時代、無許可のままでは業者間の競争に追いつけなくなります。

許可を取得することの必要性を感じたら、すぐに取得を検討しましょう。

軽微な建設工事の契約書の分割まとめ

  • 500万円以上の建設工事をいくつかに分割して請け負うことはできない
  • 500万円以上の建設工事を無許可で請け負うと建設業法違反となる

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行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

建設業特化の行政書士法人ストレートの代表行政書士。年間申請数は300件を超える。建設業者のみならず行政書士、他士業からも多くの相談を受けるプロが認める専門家。誠実、迅速な対応で建設業者の発展に貢献します。

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