JVは共同企業体のことで、ジョイント・ベンチャーの略です。
JVの工事現場においては、施工方式や下請代金の総額次第で主任技術者・監理技術者の設置の仕方が異なります。
JV制度の概要と、技術者の配置の規定について紹介しましょう。この記事では、
- JV制度の概要
- 甲型・乙型の違い
- JVにおける技術者の配置
について、建設業専門の行政書士法人ストレートが解説します。(2023/5/15更新)
目次
JVとは何か?制度の概要について
JV(ジョイント・ベンチャーの略)とは、1つの建設工事を複数の建設業者が共同で受注・施工することを目的として形成された事業組織体のことを言います。その法的性格は法人格のない団体であり、民法上の組合の一種です。
JVには次の形態があります。
特定建設工事共同企業体(特定JV) | 経常建設共同企業体(経常JV) |
大規模かつ技術難度の高い工事の施工に際して、技術力等を結集することにより工事の安定的施工を確保する場合等工事の規模・性格等に照らし、共同企業体による施工が必要と認められる場合に工事毎に結成する共同企業体を言います。 | 中小・中堅建設企業が継続的な協業関係を確保することにより、その経営力・施工力を強化する目的で結成する共同企業体を言います。単体企業と同様、発注機関の入札参加資格審査申請時(原則年度当初)に経常JVとして結成し、一定期間、有資格業者として登録されます。 |
一部引用:国土交通省「共同企業体制度(JV)」
また、JVには2つの施工方式(下記表参照)があり、主任技術者・監理技術者はこの施工方式により設置の仕方が変わってきます。
共同施工方式(甲型JV) | 分担施工方式(乙型JV) |
JVの各構成員があらかじめ定めた出資率(例:A社40%、B社30%、C社30%)に応じて、資金・人員・機械等を拠出して一体となって工事を施工する方式。 | JVが請け負った工事をあらかじめ分割し、各構成員それぞれが分担する工区の仕事の責任を持って施工する方式。(例:A社は発電所、B社はダム、C社は導水路) |
甲型と乙型の違い比較表
甲型共同企業体 | 乙型共同企業体 | |
構成員の施工 | 出資比率に応じて一体となって施工する | 自分の分担工事を施工する |
共通経費の負担 | 出資比率に応じて一体となって負担する | 分担工事額の割合に応じて負担する |
費用計算 | 一体となって行う | 各自の分担工事ごとに行う |
利益(欠損)金の分配 | 出資比率に応じて分配する | 自分の分担工事ごとに費用計算をするので、分配の問題は生じない |
施工責任 | 構成員は工事全体について責任を負う | 構成員は、まず自分の分担工事について責任を負うが、最終的には工事全体について連帯責任を負う |
瑕疵担保責任 | 構成員が連帯して責任を負う | 構成員が連帯して責任を負う |
JV(共同企業体)における技術者の配置はどうすべきか?
甲型JV・乙型JVそれぞれの場合における主任技術者・監理技術者の配置についての規定を解説しましょう。
【甲型JVの場合】主任技術者・監理技術者の配置についての規定
①下請代金の総額が4,500万円(建築一式で7,000万円)未満の場合
全ての構成員が主任技術者を設置します。(共同企業体運用規則では、JV工事の主任技術者は国家資格を有する者とすべき旨が示されています。)
なお、発注者から請け負った建設工事の請負代金が4,000万円(建築一式工事の場合8,000万円)以上の場合は、設置された主任技術者全員が当該工事に専任する必要があります。
②下請代金の総額が4,500万円(建築一式で7,000万円)以上の場合
下請契約が4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上となる場合、構成員のうち1社以上(通常は代表者)が監理技術者または特例監理技術者を設置し、他の構成員が主任技術者を設置します。
代表者の変更などの事態を想定して、監理技術者または特例監理技術者となりうるものを主任技術者にしておくことが望まれます。
続いて、請負金額が4,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上となる場合は、設置された監理技術者は専任でなければなりません。(特例監理技術者を設置した場合を除きます)
なお、共同企業体が公共工事を施工する場合は原則として特定建設業者たる代表者が請負金額にかかわらず監理技術者を専任で設置すべきであるとされています。
【乙型JV】主任技術者・監理技術者の配置についての規定
①分担工事に係る下請代金の総額が4,500万円(建築一式工事の場合で7,000万円)未満の場合
全ての構成員が主任技術者を設置します。(共同企業体運用規則では、JV工事の主任技術者は国家資格を有する者とすべき旨が示されています。)
なお、請け負った建設工事の請負代金の総額が4,000万円(建築一式工事の場合で8,000万円)以上の場合は、設置された主任技術者全員が当該工事に専任する必要があります。
②分担工事に係る下請代金の総額が4,500万円(建築一式で7,000万円)以上の場合
分担工事に係る下請代金の総額が4,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万円)となる場合、当該分担工事を施工する特定建設業者は監理技術者または特例監理技術者、他の建設業者は主任技術者を設置します。
また、分担工事に係る請負代金の額が4,000万円(建築一式で8,000万円)以上の場合は、設置された監理技術者・主任技術者は当該工事に専任する必要があります。
なお、共同企業体が公共工事を分担施工方式で施工する場合には、分担工事に係る下請契約の額が4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上となる場合は、当該分担工事を施工する特定建設業者は請負金額にかかわらず監理技術者を専任で設置すべきであるとされています。
共通事項
いずれの場合も、その他の構成員は、主任技術者を当該工事現場に設置しなければなりません。
公共工事を施工する共同企業体にあっては、
- 特定建設共同企業体にあっては国家資格を有する者
- 公共工事を施工する経常建設共同企業体にあっては原則として国家資格を有する者
を、請負金額にかかわらず専任で設置すべきであるとされています。
また、共同企業体による建設工事の施工が円滑かつ効率的に実施されるためには、すべての構成員が、施工しようとする工事にふさわしい技術者を適正に設置し、共同施工の体制を確保しなければなりません。
したがって、各構成員から派遣される技術者等の数、資格、配置等は、信頼と協調に基づく共同施工を確保する観点から、工事の規模・内容等に応じ適正に決定される必要があります。
このため、編成表の作成等現場職員の配置の決定に当たっては、次の事項に配慮しなければなりません。
- ① 工事の規模、内容、出資比率等を勘案し、各構成員の適正な配置人数を確保すること。
- ② 構成員間における対等の立場での協議を確保するため、配置される職員は、ポストに応じ経験、年齢、資格等を勘案して決定すること。
- ③ 特定の構成員に権限が集中することのないように配慮すること。
- ④ 各構成員の有する技術力が最大限に発揮されるよう配慮すること。
JVの場合の主任技術者・監理技術者の設置規定についてまとめ
- JVとは、複数の企業が共同で1つの工事を受注・施工することを目的として形成する共同企業体のこと。
- JV工事の技術者は国家資格を有する者とすべきとされている。
- JVの工事では、施工方式と請負代金の総額によって技術者の設置の仕方が異なるので、各規定を確認する。
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