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コラム

COLUMN
2023.01.25

建設業許可の欠格要件と誠実性について

建設業許可を受けるためには許可要件を備えていることと「欠落要件等に該当しない」ことが必要です。

今回はこの「誠実性」と「欠落要件」について解説しましょう。

建設業法における不正または不誠実な行為とは何か?また、欠落要件とそれに該当するかどうかの判断、労働基準法と労働派遣法の法律違反の詳細について紹介しています。

この記事では、建設業許可の欠格要件と誠実性について、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。

建設業法における誠実性

建設業法における誠実性とは、工事請負契約の請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかである場合、建設業許可を取得できないという規定です。

具体的に言えば、

  • 建設業法
  • 建築士法
  • 宅地建物取引法等

で「不正または不誠実な行為」を行ったことで免許等の取消処分や営業停止等の処分を受けて5年を経過しない事業者は、誠実性のない者として取り扱われます。

これは許可の対象となる法人・個人についてはもちろんのこと、建設業の営業取引において重要な地位にある役員等についても同様です。

具体的には次の者について誠実性が求められます。

①法人の場合

  • 法人自体
  • 取締役・執行役
  • 業務執行社員
  • 相談役・顧問等
  • 支店長・営業所長等
  • 5%以上の株主・出資者

②個人事業の場合

  • 事業主本人
  • 支配人
  • 支店長・営業所長等
不正または不誠実な行為とは何を指しているのか?
建設業法における不正な行為とは、工事請負契約の請負契約について詐欺、脅迫、横領等の法律に違反する行為のことです。
また、不誠実な行為とは工事内容、工期、天災等不可抗力による損害の負担等について工事請負契約に違反する行為のこといいます。

建設業許可の欠格要件とは

欠格要件に該当すると建設業許可が取得できません。

また、欠格要件に該当するかどうか判断しづらい場合もあるかと思います。

様々なケースを交えて欠格要件に該当するかどうかや違反の詳細について説明していきましょう。

欠格要件について

許可を受けようとする者が許可申請書や添付書類などに虚偽の記載をした場合や、法人の役員などが次のいずれかに該当するときは許可が行われません。

  • ①破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • ②精神の機能の障害により建設業を適正に営むに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
  • ③不正の手段で許可または認可を受けたこと等により、その許可を取り消されて5年を経過しない者
  • ④前記③に該当するとして聴聞の通知を受け取った後、廃業の届出をした場合、届出から5年を経過しない者
  • ⑤建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、または危害を及ぼすおそれが大であるとき、あるいは請負契約に関し不誠実な行為をしたこと等により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
  • ⑥禁錮以上の刑に処せられその刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • ⑦建設業法、建築基準法、労働基準法等の建設工事に関する法令のうち政令で定めるもの、若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、または刑法等の一定の罪を犯し罰金刑に処せられ、刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • ⑧暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  • ⑨暴力団員等がその事業活動を支配する者

罰金刑でも欠格要件に該当するケース

禁錮刑以上ではなく罰金刑であっても、次の法律を犯した場合は欠格要件(許可の取消)に該当します。

  • 建設業法(罰金刑以上の全て)
  • 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 (罰金刑以上の全て)
  • 暴力行為等処罰に関する法律(罰金刑以上の全て)
  • 刑法 (第204条(傷害) ・ 第206条(現場助勢) ・ 第208条(暴行) ・ 第208条の 2 (凶器準備集合及び結集)・ 第222条(脅迫) ・ 第247条(背任))
  • 建築基準法(第9条第1項又は10項前段の規定による特定行政庁又は建築監視員の命令に違反した場合に係る罰則)
  • 宅地造成等規制法(第14条第2項、3項又は4項前段に規定による都道府県知事の命令に違反した場合に係る罰則)
  • 都市計画法(第81条第1項の規定による国土交通大臣、都道府県知事又は市長の命令に違反した場合に係る罰則)
  • 景観法(第64条第1項の規定による市町村長の命令に違反した場合に係る罰則)
  • 労働基準法(第5条(強制労働の禁止)及び第6条(中間搾取の排除)の規定に違反した者に係る罰則)
  • 職業安定法(第44条(労働者供給事業の禁止)の規定に違反した者に係る罰則)
  • 労働者派遣法(第4条第1項の規定に違反した者に係る罰則)

執行猶予がついている場合はいつ許可を取得できるようになるのか?

刑事罰を受け、同時に執行猶予がついている場合は執行猶予期間が満了すれば建設業許可を受けられるようになります。

執行猶予満了から5年経過ということではない点に注意しましょう。

破産したことがあっても許可を取得できるのか?

欠落要件に「破産者で復権を得ない者」とありますが、たとえば「以前に個人破産したことがある」から許可を受けられないわけではありません。

多くの場合は個人破産と同時に「免責決定」まで手続きを進めます。

この時裁判所から出される「免責決定」が「復権」にあたるものです。

破産の経験がある場合は、「免責決定」まで手続きを進めているかどうか確認しましょう。

欠格要件に該当する労働基準法違反について

欠落要件に労働基準法違反についての規定があります。

労働基準法は労働条件を定めることで労働者の適切な雇用を守る法律です。

第5条(強制労働の禁止)と第6条(中間搾取の排除)の違反によって罰金刑以上に処せられると許可が取り消されますが、その他の違反については禁錮刑以上で許可が取り消されます。

労働基準法第5条 労働基準法第6条
(強制労働の禁止)
第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
第六条 何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。

引用:e-Gov法令検索|労働基準法

労働者派遣法違反に関して

欠格要件に労働者派遣法違反についての規定がありますが、建設業においては労働者派遣が禁止されている業務があります。

それは工事現場で直接作業に従事するもの(工事現場の作業員)です。

工事現場事務所の事務職員やCADオペレータ等の業務については、労働者派遣法による派遣禁止の対象ではありません。

労働者派遣の詳細についてはこちらの記事で解説していますので、ご覧になるといいでしょう。

建設業許可の欠格要件と誠実性についてのまとめ

  • 不正または不誠実な行為を行ったことで免許等の取消処分や営業停止等の処分を受けて5年を経過しない事業者は、誠実性のない者として取り扱われる
  • 許可申請書や添付書類などに虚偽の記載をした場合や、法人の役員などが欠格要件に該当するときは許可が行われない
  • 罰金刑でも暴力行為等処罰に関する法律や労働基準法、労働派遣法等々に違反すると許可は取り消される
  • 執行猶予期間を満了すれば満了から5年経過しなくとも許可を取得できる
  • 破産の経験があっても「免責決定」まで手続きを進めていれば許可を取得できる

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行政書士 大槻 卓也
執筆者

建設業特化の行政書士法人ストレートの代表行政書士。年間申請数は300件を超える。建設業者のみならず行政書士、他士業からも多くの相談を受けるプロが認める専門家。誠実、迅速な対応で建設業者の発展に貢献します。

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