建設業許可を維持するには、5年に1度の更新申請が必要となります。
更新申請には、毎年の決算報告の提出や申請事項に変更があった場合の届出がすべて完了しているかどうか等の要件をクリアしていることが必要です。
せっかく取得した建設業許可が期限切れにより失効とならないよう、余裕をもって更新申請の準備をしましょう。
この記事では、建設業許可の
- 建設業許可の有効期間
- 更新申請のタイミングとそれを過ぎた場合
- 更新申請の準備の際に確認すべきこと(経管・専技の変更があったかどうかや未提出の届出がないか等)
- 必要書類
- 更新申請に係る費用や行政書士に依頼する場合の報酬
- 更新を自分で行うべきかどうか?
について、建設業専門の行政書士法人ストレートが解説します。
目次
建設業許可の有効期間は許可が下りた日から5年間
建設業許可の有効期間は、例外なく、その許可が下りた日から5年間です。
建設業許可の有効期間は、「現在有効な許可の通知書」に記載があるので確認しましょう。
画像の赤枠のところが建設業許可の有効期間です。
許可の通知書を紛失している場合は、国土交通省の建設業者検索システムから検索すると、次の画像のような許可情報を確認することができますのでご安心ください。
建設業許可の更新申請のタイミングはいつ?
建設業許可更新申請のタイミングは、都道府県知事許可と国土交大臣許可により異なります。
都道府県知事許可と国土交大臣許可の申請タイミング、30日前を過ぎて申請が間に合わない場合について説明していきましょう。
都道府県知事許可の場合
有効期間満了日の2か月前~30日前の間に申請を行う必要があります。
たとえば、許可の有効期間満了日が令和3年8月10日の場合、その2カ月前である令和3年6月10日から更新申請が可能となります。
国土交通大臣許可の場合
有効期間満了日の3か月前~30日前の間に申請を行わなければなりません。
たとえば、許可の有効期間満了日が令和3年8月10日の場合、その3カ月前である令和3年5月10日から更新申請が可能となります。
30日前を過ぎて申請が間に合わない場合
上記のとおり更新申請は期間満了日の30日前までに済ませ、受付されることがルールとして定められています。
しかし、実務上の取り扱いとしては、許可満了日当日までに受付がされれば更新の許可は下ります。
ただし、不足書類や補正などがある場合は更新申請をしても受付されないということもあり得るので、余裕をもって準備をしましょう。
更新申請の準備の際に確認すべき要件
更新の準備をする際、まず最優先で5年前の新規申請または更新申請時の申請書の控え一式を用意して、次の事項を確認しましょう。
- 経営業務管理責任者の在席
- 専任技術者の在席
- 役員の任期が満了していないか
- 特定建設業の場合は資産要件
経営業務管理責任者の在籍が継続しているか
5年前の申請書控えのなかにある「常勤役員等(経営業務の管理責任者)証明書」という書類に記載されている該当者が、5年前から現在まで継続して取締役であり、社会保険に加入しているかを確認します。
個人事業の場合は、現在も事業主であり、本人のお名前で確定申告をしていれば基本的にはOKです。
取締役を辞めている場合
辞めた日の時点で登記されている別の取締役に経営業務管理責任者を変更しなければなりません。
この新任の経営業務管理責任者は、前任の経営業務管理責任者が取締役を辞めた日の時点で要件を満たし、かつ社会保険に加入している必要があります。
万が一、経営業務管理責任者が取締役を辞めた日の時点で後任の経営業務管理責任者になれる人が取締役のなかにいない場合は、許可更新の要件を満たせません。
したがってこの場合は、許可を廃業したうえで新規申請を検討することになります。
社会保険資格を喪失している場合
社会保険資格を喪失している場合、更新申請の前に再度、社会保険に加入して会社の保険証を発行しないと更新は認められません。
※5年間の間の社会保険履歴などは原則確認されませんが、社会保険資格を喪失している場合でも本店に常勤であることが必要です。
後期高齢者になったことにより社会保険の資格を喪失した場合は、後期高齢者医療被保険者証の写しと併せて
- 住民税特別徴収税額通知書
- 確定申告書の役員報酬明細
などで常勤性を証明することになります。
専任技術者の在籍は継続しているか
5年前の申請書控えのなかにある「専任技術者証明書」に記載されている該当者の社会保険が継続されているかを確認しましょう。
経営業務管理責任者とは違い、専任技術者は取締役である必要はありません。
しかし、万が一退職している場合は、経営業務管理責任者と同様に退職の日の時点で後任の専任技術者要件を満たす人が社会保険に加入していることを確認のうえ、専任技術者変更届を行う必要があります。
個人事業で、事業主自身が専任技術者である場合は、他の企業に属することなく継続して確定申告をしていれば問題ありません。
役員の任期が満了していないか
株式会社の場合は、取締役の任期に注意が必要です。
多くの場合、取締役の任期は定款に記載されているので、取締役就任の日または最後の重任の日から起算して任期に達していないかを確認しましょう。
常勤役員等(経営業務管理責任者)の取締役任期が切れていると更新申請が許可されないので、事前に重任の登記を済ませる必要があります。
【特定建設業の場合】資産要件を満たしているか
特定建設業許可の更新の場合、更新申請時における直近の決算において、次のすべてを満たしている必要があります。
- 資本金2,000万円以上
- 流動比率75%以上
- 欠損比率20%以下
- 純資産4,000万円以上
更新申請の準備の際の確認事項【未提出の届出がないか確認】
建設業許可更新申請が5年前の許可から受理されるためには、前回の許可から今回の更新までの間に必要とされる届出がすべて完了していなければなりません。
- 更新申請の間の決算に係る手続き
- 各種変更届がすべて完了しているか
5年前の許可以降すべての期の決算報告が提出されているか、また、会社に変更事項がないかをしっかり確認する必要があります。
毎年決算報告が提出されているか
建設業許可を受けた事業者は、毎年、決算終了日から4ヶ月以内に決算の変更届出をしなければなりません。
決算変更届出は、決算書のコピーではなく「建設業用の財務諸表」を作成し、
- 工事経歴
- 納税証明
などと併せて提出します。
提出期限は各期終了から4ヶ月以内ですが、期限を過ぎたものでも受付はされるのでご安心ください。
変更事項の届出がすべて完了しているか
建設業許可を受けたあとに事業者の登録事項に変更が生じた場合は、その都度、変更届出を行う必要があります。
変更後2週間以内に届出が必要な事項
- 常勤役員等(経営業務管理責任者)
- 専任技術者
- 社会保険加入状況
- 令3条の使用人(支配人除く)
変更後30日以内に届出が必要な事項
- 商号(個人事業は氏名または登記済み屋号)
- 営業所の所在地・電話番号・郵便番号
- 従たる営業所の名称
- 従たる営業所の新設
- 樹たる営業所の廃止
- 従たる営業所の業種追加
- 従たる営業所の業種廃止
- 資本金(法人のみ)
- 役員等・5%以上の株主
- 代表者(法人のみ)
- 氏名改姓(代表者・役員・経管・直接補佐者・専技)
更新申請の必要書類
建設業許可の更新申請には多くの申請書及び添付書類が必要となります。
この記事では東京都知事許可を例として記載します。
作成する書類
- 建設業許可申請書
- 役員等の一覧表
- 営業所一覧表
- 専任技術者一覧表
- 使用人数
- 誓約書
- 令3条使用人一覧表
- 営業の沿革
- 所属建設業者団体
- 健康保険等の加入状況
- 主要取引金融機関名
- 別綴じ用表紙
- 常勤役員等証明書
- 常勤役員等の略歴書
- 卒用証明書許可申請者の調書
- 令3条使用人の調書
- 株主調書
- 氏名一覧表
添付する書類
- 定款の写し
- 卒業証明書・資格証明書等
- 実務経験証明書
- 指導監督的実務経験証明書
- 監理技術者資格者証
- 登記事項証明書
- 登記されてないことの証明書
- 身分証明書
- 常勤役員等の常勤資料
- 専任技術者の常勤資料
- 営業所資料
- 令3条使用人の常勤資料
- 健康保険等の資料
- 法人番号資料
※ケースによって不要なものもあります。
更新申請にかかる費用
建設業許可の有効期間は5年なので、許可を維持する場合は、その満了前に必ず更新申請を行う必要があります。
この更新申請には法定費用があり、国土交通大臣許可、都道府県知事許可いずれも5万円と定められています。
また、新規申請と同様に多くの証明書類を添付する必要があるので、その実費額も発生します。
一般許可と特定許可を受けている場合
- 建築工事業は特定建設業
- 大工工事業は一般建設業
といったように特定と一般の両方を更新する場合、新規申請同様、その費用は2件分となりますので、
- 5万円+5万円=10万円
となります。
証明書類の取得に係る実費額
更新申請に添付する証明書類の取得にも費用がかかります。代表的なものは次のとおりです。
履歴事項全部証明書 | 600円 |
---|---|
身分証明書 | 200~500円 |
登記されてないことの証明書 | 300円 |
※身分証明書の費用は本籍地により異なります。
行政書士に申請を依頼する場合の報酬はどの程度か
建設業許可申請といえば行政書士ですが、更新申請を依頼する場合の代行費用は、一般建設業知事許可の場合で7万円~10万円の範囲が多いようです。
自分でも行える建設業許可の更新を行政書士に任せるべきなのか?
審査の結果、書類の不備などにより受付されなかったというケースも非常に多いため、確実に許可を更新したいなら行政書士に任せたほうがいいといえるでしょう。
建設業許可の更新には厳格な期限があり、有効期間満了日以降の申請は一切受付がされず許可が抹消されるため、次のようなケースは行政書士に迷わずご相談いただくことをおすすめします。
- 確実に許可を更新したい
- 期間満了ギリギリで焦っている
- 自分で申請準備をする時間がない
- 決算変更届を提出していなかった
- 経管・専技に変更がある
建設業許可の新規取得・維持・更新は自分で行うこともできますが、その手間や労力を考えると間違いなく大変な手続きになります。
事業に係る経費を抑えるのは経営判断として重要ですが、建設業許可に関して最も重要なのは
- 許可を確実に取得すること、そして許可を継続させること
です。
当社は建設業許可に特化した専門事務所であり、許可の新規取得だけでなく許可の維持に関しても多くの建設業者様からご依頼いただいております。
建設業許可に関するご相談は、ぜひ行政書士法人ストレートへお問い合わせください。
建設業専門の行政書士事務所
行政書士法人ストレートは、建設業者サポートに特化した事務所です。
建設業許可申請・経営事項審査・工事入札参加は、相談する行政書士によってその結果が異なることが多くあります。
個人事業~上場企業まで、年間300件以上の手続き実績がある行政書士が対応いたしますので、是非、初回無料相談をご利用ください。
セカンドオピニオンも大歓迎です。お気軽にお問い合わせください。
建設業許可、経営事項審査、公共工事入札参加は、初回無料相談!
まずはお気軽にご相談ください
行政書士法人ストレートにお任せください!