建設工事の請負契約は、双方が対等な立場に基づいて履行されるものでなければなりません。
下請代金から一方的に諸費用を差し引かれたり、根拠の不明確な諸費用を差し引かれたり、実際より過大な費用を差し引く行為は建設業法に違反するおそれがあります。
法令遵守のため、赤伝処理についての注意点と適正な手続きについて、元請負人・下請負人ともに把握しておくことが肝心です。
この記事では、
- 赤伝処理とは何か?
- 赤伝処理で建設業法違反のおそれがある行為
- 適正な赤伝処理を行う方法
について、建設業専門の行政書士法人ストレートが解説します。
目次
赤伝処理とは何か?
赤伝処理(あかでんしょり)とは、元請負人が
- ①一方的に提供・貸与した安全衛生保護具等の費用
- ②下請け代金の支払に関して発生する諸費用(下請代金の振込手数料等)
- ③下請け工事の施工に伴い、副次的に発生する建設廃棄物の処理費用
- ④①~③以外の諸費用(駐車代・弁当ごみ等のごみ処理費用・安全協力会費並びに建設キャリアアップシステムに係るカードリーダー設置費用及び現場利用等)
を下請代金の支払い時に差し引く(相殺する)行為をいいます。
これらの行為自体が直ちに建設業法違反となるわけではありませんが、適正な赤伝処理を行うには、その内容や差し引く根拠等について元請負人と下請負人の協議・合意が必要です。(詳細は後述)
建設業法違反となるおそれがある赤伝処理
建設業法違反のおそれがある赤伝処理とは、どのような行為を言うのでしょうか?
適正な手続きに基づかなければ、元請・下請間の合意があっても違反となるおそれがあります。違反のおそれがある行為事例を説明していきましょう。
適正な手続きに基づかなければ違反のおそれがある
次のような場合、建設業法第18条(建設工事の請負契約の原則)を無視することとなり、建設業法違反となるおそれがあります。
- ①元請負人と下請負人の協議・合意がないまま一方的に諸費用を下請代金から差し引く行為
- ②合意があっても根拠が不明確な諸費用を下請代金から差し引く行為(または実際より過大な費用を差し引く行為)
赤伝処理を行う場合は元請・下請間の協議・合意が必要だと述べましたが、適正な手続きに基づかなければ、合意があっても違反となるおそれがあります。
また、赤伝処理を行うことで、下請代金の額がその工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額となる場合、「不当に低い請負代金の禁止(建設業法第19条)」に違反するおそれがある点に注意しましょう。
建設業法違反となるおそれがある行為事例
赤伝処理で建設業法違反となるおそれがある行為事例は次のとおりです。
- ① 元請負人が、下請負人と合意することなく、一方的に提供、又は貸与した安全衛生保護具等に係る費用、下請工事の施工に伴い副次的に発生した建設副産物(建設発生土等の再生資源及び産業廃棄物)の運搬及び処理に要する費用及び下請代金を下請負人の銀行口座へ振り込む際の手数料等を下請負人に負担させ、下請代金から差し引く場合
- ② 元請負人が、建設副産物の発生がない下請工事の下請負人から、建設副産物の処理費用との名目で、一定額を下請代金から差し引く場合
- ③元請負人が、元請負人の販売促進名目の協力費等、差し引く根拠が不明確な費用を、下請代金から差し引く場合
- ④元請負人が、工事のために自らが確保した駐車場、宿舎を下請負人に使用させる場合に、その使用料として実際にかかる費用より過大な金額を差し引く場合
- ⑤元請負人が、元請負人と下請負人の責任及び費用負担を明確にしないままやり直し工事を別の専門工事業者に行わせ、その費用を一方的に下請代金から減額することにより下請負人に負担させた場合
適正な赤伝処理を行うためには?
適正な赤伝処理を行う場合には、前述したように元請・下請間で協議・合意が必要であり、そのうえで元請負人はその内容や差引額の算定根拠等について、見積条件や契約書面に明示しなければなりません。
これらの事項を明示しなかった場合は建設業法第20条第4項に、また、契約書面に記載しなかった場合は建設業法第19条に違反します。
また、赤伝処理を行うにあたっては、元請負人はその透明性を確保し、赤伝処理による費用負担が下請負人に過剰なものとならないよう十分に配慮しなければなりません。
なお、後々のトラブル回避のためにも、協議上の合意事項については、書面化義務の対象とならない事項についても書面にして取り交わしておくといいでしょう。
- 建設リサイクル法では、建設副産物の再資源化に関する費用を契約書面に明示することを義務付けています。元請負人は注意しましょう。
赤伝処理で建設業法違反となる行為まとめ
- 元請・下請間で協議・合意がないまま一方的に諸費用を下請代金から差し引く行為は違反のおそれがある
- 元請・下請間の合意があっても、根拠の不透明な諸費用の差し引き、または、実際より過大な費用を差し引く行為は違反のおそれがある
- 赤伝処理によって下請代金の額がその工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額となる場合、「不当に低い請負代金の禁止」に違反するおそれがある
- 適正な赤伝処理を行うには、元請・下請間の協議・合意のうえ、その内容や差引額の算定根拠等について、見積条件や契約書面に明示する必要がある。
- 赤伝処理を行う場合は、元請負人はその内容の透明性を確保し、下請負人に過剰な負担とならないよう十分配慮しなければならない
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