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2023.07.14

指値発注は建設業法違反|一方的な金額の決定がNGな理由

元請負人が下請負人と請負契約を交わす際、元請負人の地位を利用して一方的に下請代金の額を提示し、その額で下請負人に契約を締結させる行為(指値発注)は建設業法違反となるおそれがあります。

元請負人は、下請負人と十分協議したうえで請負契約を締結する必要があることを留意しなければりません。また、下請負人も指値発注によって請負契約を締結することがないように、このことについて把握しておくことが肝要です。

この記事では、

  • そもそも指値発注とは何か?
  • 指値発注が建設業法違反となる観点3つ
  • 建設業法違反となるケース

について、建設業専門の行政書士法人ストレートが解説します。

指値発注は建設業法違反のおそれがある

指値発注は、次の法律に違反するおそれがあります。順を追って説明していきましょう。

  • ①不当に低い請負代金の禁止(建設業法第19条の3)
  • ②建設工事の見積り等(建設業法第20条第4項)
  • ③書面による契約締結(建設業法第19条第1項)
指値発注とは?
指値発注とは、「元請負人が下請負人との請負契約を交わす際、下請負人と十分な協議をせず又は下請負人の協議に応じることなく、元請負人が一方的に決めた請負代金の額を下請負人に提示(指値)し、その額で下請負人に契約を締結させる行為」をいいます。
「建設業法令遵守ガイドライン」によれば、指値発注は「建設工事の請負契約の原則(建設業法第18条)」を無視するものであるとされています。
(参考:国土交通省Web「建設業法令遵守ガイドライン(第9版)」

①不当に低い請負代金

指値発注は元請負人としての地位の不当利用にあたると考えられます。

下請代金の額がその工事を施工するために「通常必要と認められる原価」に満たない金額となる場合は、「不当に低い請負代金の禁止(建設業法第19条の3)」に違反するおそれがあります。

また、元請負人が通常の工期を前提とした下請代金の額で指値をしたにもかかわらず、短い工期で下請工事の完成をさせることによって、その工事の施工に「通常必要と認められる原価」を下回る場合も、「不当に低い請負代金の禁止(建設業法第19条の3)」に違反するおそれがあります。

著しく短い工期は禁止されている
令和2年10月1日の改正建設業法によって、著しく短い工期は禁止されています。
詳しくはこちら:工期の適正化とは?建設工事の請負契約における適切な工期の設定

②建設工事の見積り等

建設業法では、下請負人が不当な契約を結んで不利益を被ることを防ぐため、発注予定価格の額に応じて一定の見積期間を設けるよう定められています。

したがって、元請負人は下請負人に対し、指値された下請代金の額で契約を締結するかどうか判断する期間を与えなければならず、見積期間を設けない場合は「建設工事の見積り等(建設業法第20条第4項)」に違反します。

詳しくはこちら:建設業法における見積期間の規定

③書面による契約締結

元請・下請間で請負代金の額の合意が得られないために契約書面の取り交わしが行われていない段階で、元請負人が下請負人に対して下請工事の施工を強要し、その後に下請代金の額を指値により一方的に決める行為は「書面による契約締結(建設業法第19条第1項)」に違反します。

建設業法第19条
(建設工事の請負契約の内容)
第19条 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。(出典:建設業法|e-Gov法令検索
詳しくはこちら:建設工事の請負契約書を交付するタイミングはいつ?

建設業法違反となるケース

建設業法違反となる行為事例、また、建設業法違反のおそれがある行為事例について紹介していきましょう。

建設業法上違反となる行為事例

次のケースは建設業法違反となります。

  • ①元請下請間で請負代金の額に関する合意が得られていない段階で、下請負人に工事を着手させ、工事の施工途中又は工事終了後に元請負人が下請負人との協議に応じることなく下請代金の額を一方的に決定し、その額で下請契約を締結した場合
  • ②元請負人が、下請負人が見積りを行うための期間を設けることなく、自らの予算額を下請負人に提示し、下請契約締結の判断をその場で行わせ、その額で下請契約を締結した場合

これらのケースは、次の法律に違反または該当するおそれがあります。

  • 建設業法第19条の3に違反するおそれ(不当に低い請負代金の禁止)
  • 建設業法第28条第1項第2号に該当するおそれ(建設業者が請負契約に関し不誠実な行為をしたとき)
  • ①のケースは建設業法第19条第1項に違反するおそれ(書面による契約締結)
  • ②のケースは建設業法法第20条第4項に違反するおそれ(建設工事の見積り等)

建設業法上違反となるおそれがある行為事例

次のケースは、建設業法違反となるおそれがあります。

  • ①元請負人が自らの予算額のみを基準として、下請負人との協議を行うことなく、一方的に提供、又は貸与した安全衛生保護具等に係る費用、下請代金の額を決定し、その額で下請契約を締結した場合
  • ②元請負人が合理的根拠がないのにもかかわらず、下請負人による見積額を著しく下回る額で下請代金の額を一方的に決定し、その額で下請契約を締結した場合
  • ③元請負人が下請負人に対して、複数の下請負人から提出された見積金額のうち最も低い額を一方的に下請代金の額として決定し、その額で下請契約を締結した場合
  • ④元請負人が、下請負人から交付された見積書に記載されている労務費や法定福利費等の内容を検討することなく、一方的に一律○%を差し引きするなど、一定の割合を差し引いた額で下請契約を締結した場合

これらのケースは、次の法律に違反または該当するおそれがあります。

  • 建設業法第19条の3に違反するおそれ(不当に低い請負代金の禁止)
  • 建設業法第28条第1項第2号に該当するおそれ(建設業者が請負契約に関し不誠実な行為をしたとき)

引用:国土交通省Webサイト「建設業法令遵守ガイドライン(第9版)」

指値発注は建設業法違反まとめ

  • 元請負人の地位を不当利用した一方的な下請代金の額の決定はNG
  • 指値発注は、建設業法の「不当に低い請負代金の禁止」、「建設工事の見積り等」、「書面による契約締結」に違反するおそれがある
  • 元請負人は下請負人と十分協議したうえで請負契約を締結すべきである

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行政書士 大槻 卓也
執筆者

建設業特化の行政書士法人ストレートの代表行政書士。年間申請数は300件を超える。建設業者のみならず行政書士、他士業からも多くの相談を受けるプロが認める専門家。誠実、迅速な対応で建設業者の発展に貢献します。

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