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2023.07.28

【建設業法】下請代金の割引困難手形による支払の禁止|注意点を解説

特定建設業者は、下請負人の利益保護の観点から、下請代金の支払いに割引困難手形を交付してはならないと建設業法で定められています。

近年罰則が厳しくなっている建設業法において、法令遵守を重要視することは当然の動きと言えます。ここで一度、下請代金の支払いにおいて注意すべき点を把握しておきましょう。

この記事では、下請代金の割引困難手形による支払の禁止について、建設業専門の行政書士法人ストレートが解説します。

記事の要約

  • 「割引困難手形による支払の禁止」は、元請負人が特定建設業者であり、資本金4,000万円未満の一般建設業者に対して工事を下請けした場合の支払いに適用される。→詳細へ
  • 手形期間120日を超える長期手形を交付した場合は、「割引が困難な手形の交付」と認められる場合があるほか、割引困難手形かどうかは金融情勢、元請負人・下請負人の信用度等や手形の支払期間から総合的に判断される→詳細へ
  • 下請代金の支払はできる限り現金で行い、手形等により下請代金を支払う場合には下請業者の負担とならないよう下請代金の額について元請・下請間で十分協議すること→詳細へ
  • 下請代金の支払に係る手形等のサイトについては、60日以内にすること

併せて知っておきたい話題:建設業法における下請代金の支払期日について

割引困難手形による支払の禁止について

特定建設業者は、下請代金の支払いを一般の金融機関による割引を受けることが困難と認められている手形により行ってはならないと、建設業法で定められています。(建設業法第24条の6第3項)

下請代金の支払いは原則、現金で行うべきとされていますが、手形による支払いは慣習的に行われています。しかし、支払期日までに割引を受けることが困難と認められる手形には現金払いと同じ効果を期待できないため、下請負人の利益保護の観点から交付を禁止されています。

適用対象者

割引困難手形による支払の禁止は、元請負人が特定建設業者であり、資本金4,000万円未満の一般建設業者に対して工事を下請けした場合の支払いに適用されます。

手形の割引とは?
手形とは、一定期間後に現金化できる証書のことです。手形の割引とは、満期未到来の手形の所持人(割引依頼人)がその手形を割引人に裏書譲渡し、その対価として割引依頼人が手形金額から満期日までの利息と割引料を控除した金額を割引人から取得する行為をいいます。

割引困難手形かどうかの判断

元請負人が手形期間120日を超える長期手形を交付した場合は、「割引が困難な手形の交付」と認められる場合があり、建設業法第24条の6第3項に違反することとなります。

このほか、割引困難な手形に該当するかどうかは、金融情勢や金融慣行、元請負人・下請負人の信用度等や手形の支払期間から総合的に判断する必要があります。

下請代金の支払に求められる配慮

建設業法令遵守ガイドライン(第9版)にて、下請代金の支払には次のような配慮が必要とされています。

  • ①下請代金の支払は、できる限り現金によるものとすること
  • ②手形等により下請代金を支払う場合には、当該手形等の現金化にかかる割料等のコストについて、下請事業者の負担とすることのないよう、これを勘案した下請代金の額を親事業者と下請事業者で十分協議して決定すること。
  • ③下請代金の支払に係る手形等のサイトについては、60日以内とすること。

適宜引用:国土交通省Web「建設業法令遵守ガイドライン(第9版)

なお、これらは現金払いの義務化ではなく、あくまでも「適切な配慮」に努めるよう求められていることです。いくら義務でないとはいえ、法令遵守を意識することが肝要です。

以上、下請代金の割引困難手形による支払の禁止について解説しました。

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行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

建設業特化の行政書士法人ストレートの代表行政書士。年間申請数は300件を超える。建設業者のみならず行政書士、他士業からも多くの相談を受けるプロが認める専門家。誠実、迅速な対応で建設業者の発展に貢献します。

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