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コラム

COLUMN
2025.01.20

【令和6年12月13日施行】専任が必要な主任技術者・監理技術者が2現場兼務可能に!

公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で、1件の請負金額が4,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上のものについては、工事の安全かつ適正な施工を確保するため、工事に配置する主任技術者又は監理技術者(以下あわせて「配置技術者」という)は、専任の者でなければならないという定めがあります。

この配置技術者の専任が必要な工事は、元請・下請に関係なく適用されるため、請負金額が4,000万円以上となる工事の数だけ異なる技術者を配置する必要があるという大変厳しいルールです。

これまでは、監理技術者の専任が必要な工事について、各工事に監理技術者補佐(技士補)をそれぞれ専任させることにより、1人の監理技術者が2つの工事を兼務できるという特例がありましたが、令和6年12月13日施行の改正により、上記の特例監理技術者とは別に、主任技術者も含めた専任配置に関する特例が設けられ、技術者の専任配置に悩む建設業者にとっては嬉しい変更がありましたので解説してきます。

この記事では、建設業法の条項号にあわせて、これから紹介する新たな配置技術者兼務に関するものを「専任特例1号」、これまでの技士補を配置することによる特例監理技術者を「専任特例2号」といいます。

専任と常駐の定義

配置技術者に求められるのは常駐ではなく「専任」であることを確認しておきましょう。

専任とは

他の工事に係る職務を兼務せず、常時継続的にその工事に係る職務にのみ従事していること

常駐とは

施工中、特別の理由がある場合を除き、常時継続的に当該工事現場に滞在していること

改正の内容

請負金額が4,000万円(建築一式は8,000万円)以上の工事は専任しなければならないこととされている配置技術者について、以下①~⑧の要件をすべて満たす場合には、兼任が可能となりました。

①各工事の請負金額が1億円未満(建築一式工事は2億円)

請負契約時には上記金額の範囲内であったものの、工事追加等により請負金額が上記金額以上となった場合、それ以降は専任特例を活用できず、配置技術者を工事ごとに専任で配置する必要があります。

②建設工事現場間の距離が近い

同一の配置技術者が1日の勤務時間内に巡回可能であり、工事現場間の移動時間がおおむね片道2時間以内であることが必要です。なお、この移動時間の判断は、通常の移動手段(自動車など)の利用が前提となります。

③下請次数が3以内

自社が注文者となった下請契約から数えて、下請次数が3を超えていないことが必要です。なお、請負契約時の下請次数は3以内だったものの、工事途中に下請次数が3を超える場合、それ以降は専任特例を活用できず、配置技術者を工事ごとに専任で配置しなければなりません。

④連絡員の配置

配置技術者との連絡その他必要な措置を講ずるための者(以下「連絡員」という)を当該各建設工事に置いていることが必要です。

連絡員は、例えば工程会議や品質検査等が2現場で同時期に行われる場合において、配置技術者が遠隔から指示した内容を、工事現場側に適切に伝達する等、事故対応を含む円滑な施工管理の補助を行うことが想定されています。

⑤施工体制を確認できる情報通信技術

工事現場の施工体制を配置技術者が情報通信技術を利用する方法により確認するための措置を講じていることが必要です。なお、情報通信技術については、現場作業員の入退場が遠隔から確認できるものが必要で、CCUS又はCCUSとAPI連携したシステムであることが望ましいですが、その他のシステムであっても遠隔から現場作業員の入退場が確認できるシステムであれば可とされています。

⑦人員配置計画書の作成

次に掲げる事項を記載した人員配置の計画書(電磁的方法でも可)を作成し、工事現場ごとに備え置くことが必要です。また、当該計画書は、工事の帳簿の保存期間と同じ期間、帳簿を保存している営業所で保存しなければなりません。

(1)建設業者の名称及び所在地

(2)配置技術者の氏名

(3)配置技術者の1日あたりの労働時間のうち労働基準法第32条第1項の労働時間を超えるものの見込み及び労働時間の実績

(4)各建設工事に係る次の事項

  • 当該建設工事の名称及び工事現場の所在地
  • 当該建設工事の内容(業種)
  • 当該建設工事の請負代金の額
  • 工事現場間の移動時間
  • 下請次数
  • 連絡員の氏名、所属会社及び実務の経験(実務の経験は、土木一式工事又は建築一式工事の場合に記載)
  • 施工体制を把握するための情報通信技術
  • 現場状況を把握するための情報通信機器

⑦現場状況を確認できる情報通信機器

配置技術者が、遠隔で工事現場の状況を確認できる映像及び音声の送受信が可能な情報通信機器が設置され、かつ、通信環境が確保されていることが必要です。なお、情報通信機器については、遠隔の現場との必要な情報のやりとりを確実に実施できるものであればよく、一般的なスマートフォンやタブレット端末、WEB会議システムでも差し支えありません。

⑧兼務可能な工事は2現場

専任特例1号で兼務できる工事は2現場までです。この2現場については、「専任特例1号を活用した工事現場」と「専任を要しない工事現場」を同一の配置技術者が兼務することも可能ですが、その専任を要しない工事現場についても②~⑧の要件を満たす必要があるので注意が必要です。

その他の確認事項

  • 同一の配置技術者が、専任特例1号を活用した工事と専任特例2号を活用した工事を兼務することはできない
  • 専任特例1号の工事が土木一式又は建築一式の場合の連絡員は、当該業種に関し1年以上の実務経験が必要
  • 専任特例1号の連絡員は、工事への専任や常駐は求められず、また、直接的・恒常的雇用関係がなくても構わない
  • 山間部等の通信環境が整備されていない工事現場では要件を満たせない場合がある
  • 営業所技術者(専任技術者)についても、同様の措置により1現場のみ専任を要する工事への配置が可能

技術者を適正に配置しましょう

配置技術者兼務の特例については、建設業法の目的である「適正な施工を確保し発注者を保護する」ことを前提にしつつ、担い手確保や生産性向上、あるいはDX技術の進展など、現状の建設業を取り巻く環境及び状況を踏まえ、その規定内容の水準を設定されています。

知らないうちに建設業法違反業者に該当してしまわないよう、日頃から法令遵守に関する確認を行うようにしましょう。

本件に関する国土交通省の報道リンク

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行政書士 大槻 卓也
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