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コラム

COLUMN
2021.06.02

経営業務管理責任者・常勤役員等とは?建設業許可のポイントを解説

建設業許可には、経営業務管理責任者を主たる営業所に常勤させなければならないという要件があります。

その要件や証明書類は非常に複雑でやっかいなので、この記事を読んだ人が経営業務管理責任者についてすっきり理解できるよう、極力わかりやすく解説していきたいと思います。

なぜ経営業務管理責任者が必要なのか

建設業許可制度の目的に、「発注者の保護を図る」ことがあります。

発注者が安心して工事請負契約を締結できるように、建設業許可には、「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有すること」という要件が設けられており、これに足りる能力がある人のことを経営業務管理責任者といいます。

建設業の経営経験がない人では建設業許可を取得できないという厳しい要件に思えますが、発注者としては安心な制度ですね。

誰が経営業務管理責任者の要件を満たせばいいのか

経営業務管理責任者は、建設業許可を申請する事業者の役員等のなかに常勤でいなければいけません。

役員等とは、株式会社・有限会社の取締役、合同会社等の持分会社の業務執行社員、個人事業の事業主または登記された支配人のことをいい、必ずしも代表者である必要はありません。

また、建設業に係る執行役員(建設事業本部長等)でも、業務執行権限を明確に委譲されている場合は認められる可能性があります。

経営業務管理責任者になれる人とは

経営業務管理責任者になれるかどうかは、過去の経験により判定します。具体的には次の3パターンです。

  • ①建設業に関し5年以上の役員等の経験がある人
  • ②建設業に関し5年以上、経営業務執行の委任を受けたうえで経営業務管理責任者に準ずる地位として経営業務を管理した人
  • ③建設業に関し6年以上、経営業務管理責任者に準ずる地位として経営業務管理責任者の補助業務に従事した人

①はわかりやすいですが、②③はよくわかりませんね。3つのパターンにつき1つずつ説明したいと思います。

①建設業の役員等5年以上の経験

ここでいう役員等とは、株式会社・有限会社の取締役、持分会社の業務執行社員、個人事業主または登記された支配人、指名委員会等設置会社の執行役、法人組合等の理事、建設業を営む営業所の支店長、営業所長等のことをいいます。

建設工事を請負・施工する事業所において、役員等の経験が5年以上あれば経営業務管理責任者になることができます。

経験を証明する資料

登記されるものについては登記事項証明書、個人事業主については確定申告書、支店長・営業所長等は建設業許可申請書または変更届出書の副本によりその経験期間を証明します。

②経営業務執行の委任を受けて5年以上経営業務を管理・執行した経験

建設業の経営業務執行について、取締役会の決議を経て取締役会または代表取締役から具体的な権限委譲を受けた執行役員としての経験が5年以上あれば経営業務管理責任者になることができます。

経験を証明する資料

権限移譲を受けた執行役員等であったことを示す取締役会議事録によりその経験期間を証明します。

この取締役会議事録またはその他の資料から、建設業に関して業務執行権限の委譲を受ける者として選任され、かつ、取締役会の決議により決められた業務執行の方針に従って、代表取締役の指揮及び命令のもとに具体的な業務執行に専念した経験であることが読み取れる必要があります。

③経営業務管理責任者の補助業務6年以上の経験

前記②の他、経営業務管理責任者に準ずる地位として経営業務管理責任者を補助した経験が6年以上あれば経営業務管理責任者になることができます。

準ずる地位とは、例えば法人における部長や、個人事業における専従者等が想定されています。

経験を証明する資料

個人事業の場合は確定申告書、青色申告決算書、法人の場合は、業務権限委譲の議事録、組織図、業務分掌規程、定款、社内稟議書等をもとに経営業務管理責任者に準ずる地位が認められるかを行政庁と協議を重ねることになります。

法改正以降に導入された要件

令和2年10月から、上記の経営業務管理責任者になれる経験がなくても、次のAまたはBの経験を有し、かつ直接補佐する人(★1)を配置することにより、経営業務管理責任者の要件を満たせるようになり、この該当者を常勤役員等といいます。

A 建設業に関し2年以上役員等の経験を有し、この期間と合わせて5年以上役員等または役員等に次ぐ職制上の地位にある者(★2)としての経験を有する

B 5年以上役員等としての経験を有し、そのうち2年以上が建設業である

★1 直接補佐する者とは

財務管理・労務管理・業務運営のそれぞれについて、建設業に関して5年以上、申請者における業務経験を有する人を直属する者として置く必要があります。

この3人は同一人でもOKですが、常勤役員等と兼ねることはできません。

★2 職制上の地位にある者とは

財務管理・労務管理・業務運営に関する役員または役員等の職制上(組織図上)直下にある 管理職を指します。

たとえば財務管理については経理部長、労務管理については人事部長というイメージです。

上記経験を積んだ企業が建設業者である証明

ここまでに説明した経営業務管理責任者・常勤役員等に求められる経験は、そのほとんどが建設業に関するものである必要があります。

建設業としての実態は、次の方法で証明することとなります。

建設業許可を有している場合

経験を積んだ企業が、その期間中建設業許可を有していた場合、その期間分の許可通知書の写しを提出することにより建設業者としての実態を証明することができます。

原則、許可通知書を用意することとされていますが、申請先行政庁によっては通知書がなくても行政同士で情報を確認し、建設業許可を有していたことを確認してくれることも多いです。

建設業許可を有していない企業での証明

経験を積んだ企業が建設業許可を有していなかった場合、その在席期間に係る建設工事の請負契約書、注文書、請求書等により建設業者としての実態を証明することになります。

請負契約書及び押印のある注文書以外の資料で証明する場合は、その工事代金の支払いを受けたことを確認できる通帳の提示も必要となるのでハードルが高くなります。

経営業務管理責任者・常勤役員等の常勤性について

経営業務管理責任者・常勤役員等に求められる常勤とは、主たる事務所において、休祝日等を除き、毎日所定の時間中その職務に従事していることをいいます。

この常勤性は、基本的には本人の健康保険証(個人事業の場合は確定申告書+国民健康保険証)により証明をします。

常勤性が否定されるケース

いくら申請会社の健康保険に加入していても、次のような事実が発覚するとその常勤性は否定されるので注意しましょう。

  • 住所が主たる営業所から遠距離で通勤不可能な人
  • 他に個人事業を営んでいる人
  • 他社の代表取締役や会社員等
  • 他社で専任を求められる職に就いている人

他社の経営業務管理責任者、常勤役員等、直接補佐者、専任技術者、清算人、管理建築士、宅地建物取引士等になっている人等は申請会社における常勤性が認められません。

ただし、他社の代表取締役については、その他社にもう1名以上代表取締役がいる共同代表の状態であり、その他社において非常勤代表取締役であるという場合は、申請事業者における常勤性を否定されません。

経営業務管理責任者の要件を満たす人を迎え入れてもいいの?

経営業務管理責任者の経験は、自社における経験である必要ありません。

他社で必要な経験を積んだ人を取締役として迎え入れてすぐに建設業許可申請を行うことは可能という回答になります。

経営業務管理責任者・常勤役員等に関するアドバイス

経営業務管理責任者・常勤役員等の在席は、建設業許可の取得時だけでなく、許可を継続するためには常に必要となります。

1日でも要件を満たす人がいない状態が生じると、許可の要件を欠くこととなりますので、日頃から予備候補者を用意または育てておくことをオススメします。

経営業務管理責任者制度の意義

新たに設けられた直接補佐者に求める経歴からもわかるように、経営業務管理責任者には次のような能力が求められています。

①適正な財務管理能力:倒産することなく、資金調達、資材購入、請負契約等を行い、工事を完成させることのできる財務管理能力

②適正な労務管理能力:建設工事に配置する技術者や技能者を確保し、管理できる能力

③不良不適格業者の排除:暴力団関係者や施工能力のない事業者などの不良不適格業者の排除

経営業務管理責任者の職務内容は、こういった建設業の営業に必要な事項を総合的に管理することといえます。

行政書士法人ストレートの実績

経営業務管理責任者・常勤役員等の証明について、行政書士法人ストレートは、多くの実績とノウハウがあります。

基本である建設業5年以上の経営経験についてはもちろんですが、難易度の高いケースもしっかり経験しています。

専従者の準ずる地位

個人事業主がお亡くなりになり、事業を引き継いだ息子さんからのご相談でした。当時は相続による承継制度がなかったため、一度許可は廃業となりましたが、個人事業の専従者として、経営業務管理責任者に準ずる地位として6年以上の経験が東京都に認められ無事に許可を取得することができました。

常勤役員等ロ2該当

建設業における取締役経験2年以上、その他の業種の取締役3年以上を有する常勤役員+その役員を直接補佐する3名を配置する証明を経営業務管理責任者の変更というかたちで届出し、国土交通大臣許可において認められています。このパターンは、前に記したとおり2020年10月以降にスタートした制度ですが、本件は2021年1月21日に受付され、審査担当者によると関東地方整備局としても初めての事例で、新制度第1号の審査通過だったようです。

建設業許可申請は行政書士にお任せください

この記事では建設業許可の重要ポイントである経営業務管理責任者について解説しましたが、建設業許可を取得するためにはその他いくつかの要件を満たす必要があります。

建設業許可全体の要件についてはこちら

建設業許可申請に関する初回相談は無料で受けておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

東京都が公表している資料

上記リンクは東京都が公表している経営業務管理責任者についての資料なので参考にしてみてください。

行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

建設業特化の行政書士法人ストレートの代表行政書士。年間申請数は300件を超える。建設業者のみならず行政書士、他士業からも多くの相談を受けるプロが認める専門家。誠実、迅速な対応で建設業者の発展に貢献します。

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当社は、建設業関連業務に特化している行政書士法人です。東京都、神奈川県、埼玉県を中心に建設業許可に関する手続きを年間300件以上代行しており、難易度の高い申請の実績も豊富です。

他の行政書士には許可をとれないと言われた事業者様の建設業許可を、問題なくスムーズに取得できるケースも非常に多いです。行政書士の業務は多岐にわたるので、建設業許可に詳しくない事務所も当然あります。

「近所だから」「安いから」という理由だけで依頼する行政書士を選ぶと、許可取得までに時間がかかったり、許可を取得できないということも考えられます。特殊な法律やルールの多い建設業に関する手続きは、専門の行政書士にご相談いただけることを願います。