経営事項審査において、自己資本額及び平均利益額のことをX2といい、総合評定値P点の15%を占める項目で、次の計算式によりその評点が算出されます。
X2=(自己資本額評点+平均利益額評点)÷2
目次
自己資本額について
自己資本額とは、決算書のうち貸借対照表の純資産の合計の額のことをいいます。
X2における自己資本額は、審査基準日に係る決算単独か、または直前2期分平均のいずれかで有利な方を選択できます。
自己資本額がマイナスの場合は0円とみなして計算します。
自己資本額評点の計算方法
審査基準日の自己資本額または直前2期の自己資本額平均を確認したら、規模に応じて★の箇所に自己資本額を当てはめて評点を算出します。
3,000億円以上 | 2,114 |
2,500億円~3,000億円未満 | 63×★÷50,000,000+1,736 |
2,000億円~2,500億円未満 | 73×★÷50,000,000+1,686 |
1,500 億円~ 2,000 億円未満 | 91×★÷ 50,000,000+1,614 |
1,200億円~1,500億円未満 | 66×★÷30,000,000+1,557 |
1,000億円~1,200億円未満 | 53×★÷20,000,000+1,503 |
800億円~1,000億円未満 | 61×★÷20,000,000+1,463 |
600億円~800円億円未満 | 75×★÷20,000,000+1,407 |
500億円~600億円未満 | 46×★÷10,000,000+1,356 |
400億円~500億円未満 | 53×★÷10,000,000+1,321 |
300億円~400億円未満 | 66×★÷10,000,000+1,269 |
250億円~300億円未満 | 39×★÷5,000,000+1,233 |
200億円~250億円未満 | 47×★÷5,000,000+1,193 |
150億円~200億円未満 | 57×★÷5,000,000+1,153 |
120億円~150億円未満 | 42×★÷3,000,000+1,114 |
100億円~120億円未満 | 33×★÷2,000,000+1,084 |
80億円~100億円未満 | 39×★÷2,000,000+1,054 |
60億円~80億円未満 | 47×★÷2,000,000+1,022 |
50億円~60億円未満 | 29×★÷1,000,000+989 |
40億円~50億円未満 | 34×★÷1,000,000+964 |
30億円~40億円未満 | 41×★÷1,000,000+936 |
25億円~30億円未満 | 25×★÷500,000+909 |
20億円~25億円未満 | 29×★÷500,000+889 |
15億円~20億円未満 | 36×★÷500,000+861 |
12億円~15億円未満 | 27×★÷300,000+834 |
10億円~12億円未満 | 21×★÷200,000+816 |
8億円~10億円未満 | 24×★÷200,000+801 |
6億円~8億円未満 | 30×★÷200,000+777 |
5億円~6億円未満 | 18×★÷100,000+759 |
4億円~5億円未満 | 21×★÷100,000+744 |
3億円~4億円未満 | 27×★÷100,000+720 |
2億5,000万円~3億円未満 | 15×★÷50,000+711 |
2億円~2億5,000万円未満 | 19×★÷50,000+691 |
1億5,000万円~2億円未満 | 23×★÷50,000+675 |
1億2,000万円~1億5,000万円未満 | 16×★÷30,000+664 |
1億円~1億2,000万円未満 | 13×★÷20,000+650 |
8,000万円~1億円未満 | 16×★÷20,000+635 |
6,000万円~8,000万円未満 | 19×★÷20,000+623 |
5,000万円~6,000万円未満 | 11×★÷10,000+614 |
4,000万円~5,000万円未満 | 14×★÷10,000+599 |
3,000万円~4,000万円未満 | 16×★÷10,000+591 |
2,500万円~3,000万円未満 | 10×★÷5,000+579 |
2,000万円~2,500万円未満 | 12×★÷5,000+569 |
1,500万円~2,000万円未満 | 14×★÷5,000+561 |
1,200万円~1,500万円未満 | 11×★÷3,000+548 |
1,000万円~1,200万円未満 | 8×★÷2,000+544 |
1,000万円未満 | 223×★÷10,000+361 |
※自己資本額に1,000円未満の端数がある場合は切り捨て
※評点小数点以下は切り捨て
平均利益額について
X2で用いる利益額とは、営業利益に減価償却費を足し戻した額のことで、「利払前税引前償却前利益」といい、経営事項審査においては、この2期平均が評価対象となります。
自己資本額と同様に平均利益額そのものが絶対評価されます。
「利払前税引前償却前利益」は、企業の収益力を計る指標です。
平均利益額では、営業利益が大きい会社はもちろんですが、自社で機械設備等の固定資産を多く保有する自社施工能力が高い会社も有利となる仕組みです。
平均利益額評点の計算方法
利払前税引前償却前利益は、決算書のうち損益計算書の「営業利益+減価償却費」で算出できます。
この利益額は、常に直近2期平均を基準とする決まりなので、自己資本額のように直近決算のみで評価を受けることはできないので注意しましょう。
2期平均利益額が算出できたら、その額の規模に応じ、以下の表の★の箇所に2期平均利益額を当てはめて評点を計算します。
3,00億円以上 | 2,447 |
250億円~300億円未満 | 134×★÷5,000,000÷1,643 |
200億円~250億円未満 | 151×★÷5,000,000+1,558 |
150億円~200億円未満 | 175×★÷5,000,000+1,462 |
120億円~150億円未満 | 123×★÷3,000,000+1,372 |
100億円~120億円未満 | 93×★÷2,000,000+1,306 |
80億円~100億円未満 | 104×★÷2,000,000+1,251 |
60億円~80億円未満 | 122×★÷2,000,000+1,179 |
50億円~60億円未満 | 70×★÷1,000,000+1,125 |
40億円~50億円未満 | 79×★÷1,000,000+1,080 |
30億円~40億円未満 | 92×★÷1,000,000+1,028 |
25億円~30億円未満 | 54×★÷500,000+980 |
20億円~25億円未満 | 60×★÷500,000+950 |
15億円~20億円未満 | 70×★÷500,000+910 |
12億円~15億円未満 | 48×★÷300,000+880 |
10億円~12億円未満 | 37×★÷200,000+850 |
8億円~10億円未満 | 42×★÷200,000+825 |
6億円~8億円未満 | 48×★÷200,000+801 |
5億円~6億円未満 | 28×★÷100,000+777 |
4億円~5億円未満 | 32×★÷100,000+757 |
3億円~4億円未満 | 37×★÷100,000+737 |
2億5,000万円~3億円未満 | 21×★÷50,000+722 |
2億円~2億5,000万円未満 | 24×★÷50,000+707 |
1億5,000万円~2億円未満 | 27×★÷50,000+695 |
1億2,000万円~1億5,000万円未満 | 20×★÷30,000+676 |
1億円~1億2,000万円未満 | 15×★÷20,000+666 |
8,000万円~1億円未満 | 16×★÷20,000+661 |
6,000万円~8,000万円未満 | 19×★÷20,000+649 |
5,000万円~6,000万円未満 | 12×★÷10,000+634 |
4,000万円~5,000万円未満 | 12×★÷10,000+634 |
3,000万円~4,000万円未満 | 15×★÷10,000+622 |
2,500万円~3,000万円未満 | 8×★÷5,000+619 |
2,000万円~2,500万円未満 | 10×★÷5,000+609 |
1,500万円~2,000万円未満 | 11×★÷5,000+605 |
1,200万円~1,500万円未満 | 7×★÷3,000+603 |
1,000万円~1,200万円未満 | 6×★÷2,000+595 |
1,000万円未満 | 78×★÷10,000+547 |
※平均利益額に1,000円未満の端数がある場合は切り捨て
※評点小数点以下は切り捨て
自己資本額及び平均利益額の評点アップ対策
X2の評点アップ対策には、短期的なものと中長期的なものがあります。
短期的な対策
会社の場合、増資により資本金を増やせば単純に自己資本額が増えます。
決算前の試算の結果、目標とする自己資本額に届かない場合、その足りない額を増資するという対策は、直接的であり、最も効果的な方法です。この増資は、審査基準日となる決算日までに行う必要があるので注意しましょう。
中長期的な対策
自己資本額の評点をアップさせるには、中長期的には、「毎期確実に利益を計上する」ことが重要です。各期の利益は、繰越利益剰余金として純資産の部に積み上げられていくので、着実に利益を出し続けていれば自己資本額は基本的には増えていく仕組みとなっています。
自己資本額及び平均利益額X2まとめ
自己資本額及び平均利益額の数字は、「企業にどれくらい純資産があるか」と「ここ2年でどれくらいの利益を出しているか」を明確にするものなので、経営事項審査における評点アップに向けて努力することは、企業自体の安全性、収益力を向上させることに繋がります。
利益額を向上させると納税額は増えますが、X2の評点対策により総合評定値P点をアップさせて、公共工事の請負いを増やせる体制を整えるようにしていきましょう。